2021年を振り返って

今年は人生最高の一年だった。1月には『Decision Science for Future Earth』を出版。12月30日には15編目の論文が公表された。15編中2編は第一著者。論文の被引用数は1090件で過去最高。昨年4月からスタートした新プロジェクトは8月の中間評価でS評価。保全生態学入門26年ぶり改訂作業もほぼ完了。
 福岡市科学館では、ダーウィンコース中級編、SDGs家族会議、ニュートンコースという小学生とその家族を対象とするプログラムの企画・実施をサポートした。どれもとても挑戦的なプログラムで準備が大変だったけど、子どもたちの成長がまぶしくて達成感があった。ニュートンコースの挑戦は新年も続く。
 一般社団法人九州オープンユニバーシティの事業も確実に前進したと思う。九州大学との連携協定の手続きが進んでおり、2022年4月には協定がスタートする予定。糸島半島を対象にして新しいプロジェクトを開始する計画を相談中。また矢原塾をオンラインで再開準備中。大学院共通教育のテキストも計画中。
 映画では『ラーヤと龍の王国』『アイの歌声を聴かせて』に出会えた。『ラーヤ』は善悪二元論を捨て「敵を信じることが魔法」というすばらしい方向性を打ち出した傑作。『アイ歌』は「誰だって誰かのことを照らしてあげる光」という温かい人間賛歌。また作劇が見事。製作チームの作品への共感も素敵。
 小説では『アイの物語』『詩羽のいる街』に出会えた。『アイの物語』はAIが倫理性を身に着けた世界での人間のあり方を問う作品。人間はみな認知症、というAIの発言には唸った。『詩羽のいる街』は物語の力で世界が変えられると思わせてくれる作品。人と人をつなぐ詩羽の生き方に心を鷲掴みにされた。
 本ではブレグマン『希望の歴史』に出会えた。「ほとんどの人は本質的にかなり善良だ」という主張に高い説得力があることに驚かされた。1月に出版した『Decision Science for Future Earth』第一章では「世界は良くなっている」証拠をあげたが人が善良だとは主張しなかった。人間には確かに希望がある。