書評「キリン解剖記」-映画のヒロインのようなキリン研究者の成長物語

「キリンがなくなりました」 私の研究は、動物園のスタッフから届くキリンの訃報から始まる。 ・・・この書き出しは、そのまま小説に使えますね。え、あの可愛いキリンが死んだ? そこから始まる研究って何? と、読者はもうすっかり郡司さんがこれから語る…

文章力は人生を支えるスキル

私の人生を支えているスキルは、文章力と実行力だと思う。中でも、文章力にはよく助けられている。達人ではないけど、書く作業を楽しめるだけの文章力はある。この文章力のおかげで、論文をしっかり書けるし、申請書の説得力が高いし、本を書いたりエッセイ…

論理的な文章を書くための2つの原則

「論理的な文章とはどんな文章か」について明快に解説した本は、私が知る限りない。そこで、「論理的な文章とはどんな文章か」について、私の考えを書いてみる。 古賀史健著『20歳の自分に受けさせたい文章講義』には、論理破綻の例として以下の文章があげ…

『理科系の作文技術』の文章は読みにくい

段落の最初には、トピック・センテンスを置き、段落の最初の一文だけを飛ばし読みすれば、論理が追えるように書くべし。これは、私が『理科系の作文技術』(木下是雄著、中公新書)から学んだ文章作法です。しかし、本書を38年ぶりに読み返してみて、驚き…

瞬読書評『伝わる・揺さぶる!文章を書く』(山田ズーニー)

人に薦められる文章作法の本に、やっとめぐりあった。 山田ズーニー著『伝わる・揺さぶる!文章を書く』 プロローグで、高校生の作文の、改訂前と改訂後が紹介されている。 改訂前「私が切実に受け止めることと言ったら、自分の将来についてです。ひとまず私…

「大学生に読んでほしいレポート」をさらに改訂してみた

先日紹介した新田さんのレポートはとてもよく書けていますが、大学生の授業レポートとしては課題もあります。そこで、「レポートの書き方」の注意点を解説するための実例として、改訂版を用意しました。 「遠くからはこんもりと緑色にしか見えない森林だが、…

文章が苦手な大学生に読んでほしいレポート

大学教員を長年つとめて残念に思うのは、多くの大学生のレポートが雑なことです。 「マルハナバチの写真がかわいかったです。キャンパス内にいるそうなので、探してみたいと思います。」 あのね、感想文を書いてほしいんじゃないんだよ。講義で学んだことに…

『バズる文章教室』書評その2 多様性って要約できないんですよ

文体って、こんなにも多様なんだ! 「バズるつかみ」の7例に続いて、「バズる文体」には、なんと16もの文例が紹介されています。ダンスを踊るように書く(村上春樹の音感力)、ドリーインしたりズームインしたりして撮影するように書く(司馬遼太郎の撮影力…

『バズる文章教室』書評その1:垂らされた釣り糸にひっかかった話

読んで楽しい文章には法則があるのだ、と著者はプロローグで宣言しています。この本は、著者が「面白いじゃん」と思った文章をとりあげて、なぜその文章が面白いのかについて考え、法則化した本です。 「バズるつかみ」「バズる文体」「バズる組み立て」「バ…

『バズる文章教室』のぐうの音も出ない一言

「上から目線の文章は、読み手に絶対バレちゃうから。」 たしかに。たしかにおっしゃる通りです。わかっているつもりで、そうならないように努力していたつもりで、努力が足りませんでした。ごめん。 「昨今の地球温暖化に関する議論は・・・(注:これ、私…

『バズる文章教室』ゲット

とりあげられている文章のメニューはきっと48だと予想して数えてみたら、何度数えても49あります。AKBファンを公言している三宅さんの本だから、きっと48あると思っていたら、予想を裏切られました。でも一つ違いだから、きっと48を意識していましたよね。 …

「理科系の作文技術2.0」を書いてみたい

屋久島滞在中も、帰路も、「Decision Science for Future Earth」というタイトルの総説の英文原稿を書き続けています。この総説は、地球環境問題を含む人間社会の諸問題の解決において、人間の意思決定に関する自然科学・社会科学を統合した科学(Decision S…

「花はなぜ美しいか」という文章の書き出しを考えてみた

ヤマザクラ、フジ、アジサイ、ネムノキ・・・。四季を通じて、色とりどりの花が咲き続ける。この花のリレーの舞台裏で、花と昆虫の密かなバトルが繰り広げられていることを、多くの人は知らない。 三宅香帆さんの新刊『バズる文章教室』の販促企画として、「…

センスメイキングを明識化と訳そう

週末2日かけて、"Decision Science for Future Earth"という2年がかりで書いている論文の新しいパートを書こうとしましたが、頭の中のもやもやが晴れず、文章化はほとんど進まないままに終わってしまいました。Future Earthプロジェクトの最終報告書を月末に…

三宅香帆さんの『バズる文章教室』

三宅香帆さんの『バズる文章教室』、買うかどうか迷っていましたが、「この本も私にとっては文体批評の本だし、でも文体批評ってふつーに書いてるだけじゃ他人に届かないし。そんなわけでこんなポップなタイトルになったのでした。」というご本人のツイート…

大伴旅人に贈られたセンダン(あふち)の歌

今朝、伊都キャンパス内のセンダンの木を見に行ったら、はやくも花がピークを過ぎていました。先日、妻を亡くした大伴旅人に贈られた卯の花とホトトギスの歌を紹介しましたが、同じ時期に、山上憶良はセンダンの歌を傷心の旅人に贈りました。 妹が見し あふ…

授業レポートへのダメ出し

今日の授業を受講した大学院生のレポートを読み、コメントを返している。以下は、私の要求に応えていないレポートにダメ出しをして、再提出を求めたケース。以下に書いた点は、大学一年生のときに徹底して教えたい内容だ。しかし、大学院生に対してこのコメ…

万葉集に記録されたホトトギスの托卵

昨日、卯の花の記事を書くために、卯の花を詠んだ万葉集の歌を調べていたところ、なんとホトトギスの托卵が歌われていることに気づきました。 万葉集巻第九(1755) 鴬の 卵の中に、霍公鳥(ほととぎす) 独り生れて、斯が父に似ては鳴かず、斯が母に似ては鳴…

大伴旅人に贈られた卯の花とホトトギスの歌

今日のInstagramでも紹介したように、伊都キャンパス生物多様性保全ゾーンでは、ウツギの花が咲き始めました。 ウツギの通称は、ウノハナ(卯の花)。明治のころに作られた歌曲『夏は来ぬ』の最初の歌詞で「卯の花匂う垣根にほととぎす早も来鳴きて忍び音も…

屋久島の豪雨

屋久島 山中で一夜明かした300人超全員の下山を確認 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190519/k10011921651000.html とりあえず、行方不明者や大けがをした人が出ず、全員下山できたと聞いて、ほっとしました。登山客とともに荒川登山口に足止めされたバ…

ナガバギシギシにつくアブラムシは敵か味方か?

伊都キャンパス生物多様性保全ゾーンの道端にはナガバギシギシの群生があるのだが、どの株にも写真のようにたくさんのアブラムシ(たぶんギシギシアブラムシ)が付いている。ナガバギシギシの師管液を吸っているから、ナガバギシギシにとっては食害者、つま…

スイバの謎

スイバの果実の拡大写真です(Instagramにもポストしました)。ご覧の通り、ピンク色の縁取りがあって、かなり綺麗です。アントシアニンの赤い色素が作られているのだと思いますが、この色に何の意味があるのでしょうね? おなじ属のギシギシは果実になって…

伊都キャンパス花だより

4月から、伊都キャンパスの植物の写真をiPhoneで撮ってInstagramにポストしています。今日はクスノキとコマツヨイグサの2種をポストしました。この季節は花が多く、1日1種では開花中の全種をとてもカバーしきれません。しばらくは2種ずつポストしようか…

詩の解釈の多義性ー万葉集の歌の解釈について考える

令和の出典となった万葉集の「蘭」が、ラン科植物ではなくフジバカマだという記事をJBPressに書きました。多くの方からコメントをいただきました。 -蘭が藤袴だとは驚きです。素晴らしい考察だと思います。令和の万葉集からの真の解釈が成り立ちますね。私も…

令和の序文が詠まれた光景

久しぶりにJBPressに記事を書きました。 令和の出典に登場する「蘭」、歌人が見た光景とは? 新元号が発表されるとすぐに、twitterではいろいろな情報が流れ、蘭亭序との関連や、張衡「帰田賦」の「仲春令月、時和気清」という先例が指摘され、「やっぱり漢…

卒業生に送る言葉

昨日は卒業式だったので何人かの学生からメールが届きました。私はフィリピンに出張しているので、卒業式には出れませんでした。メールの返事で書いたのは、活躍しなくても良いので、まずは健康管理をしっかりやって、引き受けた責任をきちんと果たしてほし…

春を生んだ里山

先日見た記事によれば、日本の良いところについてのアンケートの一位が、四季があること、だったそうです。多く人が都会で暮らす現代の日本でも、春夏秋冬の季節の変化を愛でる心根が生きていることを知って嬉しく思いました。 でも、季節の変化を四季、春夏…

南アルプスでのリニア新幹線工事

生態学会大会でエコパークシンポに出て、リニア新幹線工事がトンデモない計画だということを始めて知った。南アルプスの地下を通るトンネルを掘るために大井川上流の谷あいから長野県側と岐阜県側に掘り進める。大量に発生する土砂捨て場として、大井川の河…

花開童子

「日本三大修験山」のひとつに数えられる福岡県の英彦山。その麓に、「吉木の山桜」として知られる大きなヤマザクラの古木がありました。樹齢300年と推定され、その長い寿命を通じて、地域の人たちに愛された木でした。2017年7月の九州北部豪雨は何とか耐え…

このブログ開設後に、移行方法を調べたら、以下のアナウンスを発見。遅かったか。でも、自動移行するそうだ。自動移行後のはてなブログのドメイン名は yahara.hatenadiary.org 私が開設したこのブログのドメイン名は yahara.hatenadiary.com 2つのブログを…